発情の仕掛けにみる人性の謎

著者:日本生活心理学会
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表紙画像
価格:¥ 578
出版社:河出書房新社
発行年:
サイズ:電子書籍
No:1-1203

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■ 内容紹介

出版社/著者からの内容紹介
性イメージと性交欲は幼児期から青春期へかけてどのように形づくられ、初交に至るのかを具体的に綴った「性歴手記五十章」など、性的想像力の形成過程を実態に即して記録した報告四編のほか、下町の“性的共同体”のなかで性を学習し、官能情報を得て成長し、待つのではなく仕掛ける側にまわった女性たちの性的放縦と見まがう奔放な性の営みの記録など五編。


抄録(「電子書店パピレス」より)
「さっきはどうしてあんな事したんだい」
「あの男ったらいけ好かないのよ、ワタシのオマヘ(陰門)を撫でるんだもの」

今迄、ニコニコと映画の話をしていたワイフが急に怒ったような表情になってそう答えた。私はその話を聞いた途端に不愉快になり、その嫌な顔が自分でも見えるような気がした。

「ワタシ始めは込んでるからだって思って一寸後に身を引いてみたのよ、そしたらそれっきり、なにも感じなくなり映画に見入ってしまったんだわ。暫くすると又オマヘが押される感じがするのよ。どうするかと思って、じっとして様子を見ていたらソロソロと撫で始めたの、癪に触(ママ)ってその手を思い切り払い除けてやったわ。すると又、持ってくるじゃないの、こんどは力一杯抓ってやったの。それでも駄目なのよ。余程、アナタに云おうかと思ったけど、人前でしょう、だから羞しくて云えなかったの。それであんなことしたのよ」
「そんな事する奴がいるのかなあ」
「Cちゃん(ワイフの友人)もそんないたずらされた事あるって云った事あったわ」
「だって着物の上からだろう」
「えゝ。そうよ」
「それでその男の奴は気持がいゝのかなあ──もし、気持がいゝとしたらその男は変態だよ」

私は事の次第が分ったので、先程の不愉快さは大分薄らいで来た。それっきり二人は映画の話に返った。僅か五、六分の処であり、間もなく家に着いた。
家に着いてからも映画の話に花が咲き、いつの間にか箪笥の上の置時計は十時を指していた。

「もう十時だから寝ようか」
「アラもう十時ね。随分、今夜は時間の経つの早いのね」

そう云いながらワイフは立上って押入から蒲団を出し手際よく敷いた。
敷き終るや否や、私は帯一本になり蒲団に潜り込んだ。ワイフも肌着一枚になると、直ぐ電灯を消して私の側に入って来た。
ワイフが寝ると待ってましたとばかりに、私はすぐさま首に片手を廻して抱き寄せ、片手でチチラチオを始めた。
抱いてはみたものゝ、映画での事が頭の隅にこびり附いたっきり離れず、かへって苦しくなった。

「Sよ、お前さっき活動見ていた時にこゝを撫でられたと云ったが、どんな気持だったい?」
「どうしてそんな事聞くの──」
「…………」
「ゾクゾクッとしてとても不愉快だったわ──」
「俺ならどうだい」
「嫌よ、アナタったら。夫婦じゃないの。そんな事、聞かなくっても分っているでしょう。フヽ」

私は急に愛しさが込上げて来て思わずグッと抱き寄せてキスした。
しかし、心の片隅には、どこの馬の骨だか分らない男に、自分一人の物と思っていたこのワイフが、事もあろうに着物の上からとは云え、玉門を撫でさせたとはもっての外だ。と、そんなものが残っており、嫉妬に似たものと愛しさとそれに病気に対するヤケとが錯綜し、抱擁しては離し、離しては抱擁して一晩中ワイフを眠らせなかった。
(別れ妻との「性」生活より)


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■ 目次

はじめに
性歴手記五十章
これが正常なヰタ・セクスアリスではないか?
子供の乱交記
性的追想いろいろ
私の初交記
誘惑する女人たち
非処女との初婚記
別れ妻との「性」生活
病者の青春
解説 来栖幸子
性用語の手引き 鈴木敏文

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発情の仕掛けにみる人性の謎紹介ページの最終更新日時
2006年4月1日 17:30:45
ID:1847