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本書の主張は、「性の情報から子供達を隔離しようとすることが、結果として子供達に害を与えてしまっている」というものです。本書が示している事実からは、かつては「性を率直に大らかに語る社会」と思われていたアメリカが、現在では「性に怯え」「性を検閲し」「性に関する行為をあぶりだし処罰する」ような社会になってしまったような印象を受けます。
性に関する情報を子供達に伝えながらしかるべき性教育を行うというスタンスよりも、そもそも性の情報から隔離して教育(禁欲教育)すべきであるというスタンスが優勢である状況は、この両者の対立そのものがアンバランスでおかしなものと言えるでしょう。
双方が綱引きをするような主張のありかたは現実的ではなく、メディアを通じて伝わる行き過ぎた情報に対する「しかるべき判断力」を教えることが、まず議論されることが必要なのではないかということです。こうして当たり前のことを指摘しなければならないほどに、ここ20数年ほどの間にアメリカの性と子供の環境は変化してしまったようです。
訳者も後書きで指摘していますが、著者の論点は幾つかの点で曖昧なままになっていることが、本書の読まれ方を左右してしまう可能性があると思われます。例えば、「青少年にとってセックスはそれ自体は有害ではない」という主張の“有害”が、いついかなる場合でもなのか、そうである場合もあるものなのかが理解し難い点などです。
ともあれ本書は、読者の性意識や教育姿勢といったものを揺さぶるものと言うこともでき、日本の我々にとっても重要な思考実験と実践の機会であり、また性への向き合い方の試金石と捉えることが出来るのではないでしょうか。((C) netman 「性の本棚」)
出版社/著者からの内容紹介
セックスは、子どもにとって有害か?現代アメリカ社会のタブーにまっこうから挑み、賞賛と論争の嵐を巻き起こした必読の書!第23回ロサンゼルス・タイムズ賞受賞。
内容(「MARC」データベースより)
セックスは青少年に有害か? 子どもの「性」に対して過剰に反応するアメリカ社会。この保護主義的な政策が現実にはどれほど子どもたちに害を与えているかを実例を挙げながら検証する。第23回ロサンゼルス・タイムズ賞受賞。
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危険と喜び、子育てと子ども時代
第1部 有害な保護(検閲―性的なメディアと性を知ることへのためらい
人狩り―小児愛症者恐怖
治療―「性的いたずらをする子ども」と正常という名の抑圧
激情犯罪―法定強姦と女性の欲望の否定
ノーセックス教育―「純潔」から「禁欲」へ ほか)
第2部 感覚とセクシュアリティ(事実―ほんもののフィクション
欠けているものはなにか?―ジェンダー、平等、欲望
よいさわり方―感覚教育
コミュニティ―エイズの時代の危険、アイデンティティ、愛)
道徳性