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本書は、不妊治療を題材として、生殖医療技術の開発や臨床応用を担う人々、つまり産婦人科医が、いかなる論理によって、技術を社会に定着させてきたのかを検討しています。さらには、生命全般に関する技術が次々と開発されて行く時代において、私たちはそれらの技術についていかに考え、それにどう対処するべきかの手掛かりを見つけようとしています。
本書を読むと、医師へのインタビューの内容を通じて、そこに倫理的な葛藤や割り切りの存在、また、技術としての有用性と“有用性そのもの”が自然なものか不自然なものか、といった、非常に倫理的なそして個人の価値観とのせめぎあいとでも言うものを見ることが出来ます。
また、不妊というものを「症状」として、また「機能の低下」として捉えることの意味と、それぞれにおける“医師の取り組み態度”の差異といったものも浮かび上がってきます。これらに留まらず、本書では医師の多種多様な発言を取り上げ、そこから医療の素顔を描き出そうとしており、非常な労作という感があります。
テーマは専門的ですが、一般の人もそこから十分に意図を読み取れるものですので、不妊治療に疑問をお持ちの人は一読されることをおすすめします。医師の生の声、ひとりの人としての声を知ることが出来る、貴重なものです。((C) netman 「性の本棚」)
出版社/著者からの内容紹介
インタビュー調査から浮かびあがる日本の産婦人科医の生命観・家族観・自然観。医師たちは「患者のため」に新しい生殖医療技術を開発・応用していると語る。患者たちはその医療で悩み苦しんでいる。なぜ、このようなズレが生じるのだろうか?生命現象に介入する医師の社会的・文化的な欲望のミクロ政治学。
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序章 本書の背景と目的
第1章 これまでの研究と本書の位置づけ
第2章 医師の意識と行動を調査する
第3章 不妊治療技術についての医師としての態度
第4章 医療技術の評価―患者の論理と医師の論理
第5章 医師の「家族」観・「親子」観
第6章 「自然である/ない」という観念と医師としての態度
第7章 「不妊は病気か」―「病気」概念と不妊の医療化
第8章 医師としての態度と「個人」としての態度
終章 なぜ不妊治療技術は進展しつづけるのか